公安学校の日記

恋人は公安刑事が大好きです。

ラブストリーはカレから突然に♡ 石神 3話

気持ちを打ち明け合った私たちの周りには、先程はなかったゆるやかな空気が流れる。

結衣

「石神さん、この後の予定はもしかして…」

石神

「ああ、青山たちが予定していたところに行こうと思っている」

結衣

「やっぱり…あの、石神さん。今度は石神さんが行きたいところに行きませんか?」

石神

「俺が、行きたいところ…?」

結衣

「はい。今日は私の行きたいところに付き合ってもらったから」

「最後は石神さんが行きたいところに連れて行ってほしいんです」

石神

「……」

石神さんは少しの間考え、ためらいがちに話し始める。

石神

「いや、今日は君が行きたいところに行こう。始めから、そう予定していたんだからな」

結衣

「私が行きたいところは、石神さんが行きたいところなんです」

「それに、占い師の方も言っていたじゃないですか」

「『長続きの秘訣は、お互い無理をしないこと』だって」

「だから今度は、石神さんが行きたいところに連れて行ってください」

石神

「占い師の言うことを信じるわけではないが…青山がそこまで言うなら、いいだろう」

「少し距離があるが、いいか?」

結衣

「はいっ、もちろんです!」

石神

「フッ…そうか」

石神さんは、私を車に乗るように促す。

そして私たちを乗せた車は、ゆっくりと走り出した。

 

車が到着する頃には日が落ち、当たりは暗くなっていた。

車を降りると辺りに明かりは少なく、薄暗かった。

(こんなところに、いったい何があるんだろう?)

結衣

「あの…石神さん?どこに行くんですか?」

石神

「君を連れて行きたいのは、この先だ」

結衣

「あっ…」

石神さんはそう言いながら、私の手をそっと握る。

右手から伝わる温もりに、私の胸は高鳴った。

石神

「暗いからな…行くぞ」

結衣

「はい」

そして、しばらく歩いた先に待っていたのは……。

 

結衣

「っ……」

(すごい…麗な夜景…)

思わず言葉がでなくなるほど綺麗な夜景が、一面に広がっていた。

穏やかな風が吹き、私の頬を優しく撫でる。

石神

「どうだ?」

結衣

「すごく綺麗で、なんて言えばいいのか…」

石神

「そうか…」

私の反応に、石神さんは嬉しそうに微笑む。

石神

「それだけ喜んでもらえるなら、連れて来たかいがあったな」

「ここはあまり人が来ない、穴場なんだ。…今までに、誰にも教えたことがない」

結衣

「そうなんですか?」

石神

「ああ。時々気分転換をしに来るからな。その時、知っているやつがいたらイヤだろう?」

結衣

「石神さん…」

(そんな特別な場所に、私を連れて来てくれたんだ…)

<選択してください>

B:うれしいです

結衣

「うれしいです。そんな特別な場所に、私を連れて来てくれて」

石神

「そうか…」

(あっ…私の手を握る力が、強くなった…)

石神

「俺も青山と来れて…」

結衣

「え?」

石神

「…いや、なんでもない」

結衣

「もう、最後まで言ってくださいよ」

石神

「……」

結衣

「石神さん?」

石神

「はぁ…分かった。もう一度しか言わないからな」

石神さんは私に向けていた視線を、夜景に向ける。

石神

「俺も…青山と来れて、よかった」

(こうやって石神さんと話していると、なんだか不思議な感じがする)

(公安学校に入校した時からしたら、考えられないよね…)

初めは厳しい教官だとおもっていた。

だけど今は、もっと彼の隣にいたい、彼のことをもっと知りたい…

そして、私のことをもっと知ってほしいと思っている。

(石神さんのことを想うだけど、こんなにも胸が苦しくなるなんて…)

結衣

「あの、石神さん…」

石神

「なんだ?」

結衣

「私…もっともっと、石神さんの傍にいたいです。石神のことを知って…私のことを知ってほしい」

「もっと石神と歩み寄りたいって…そう思っています」

石神

「青山…」

結衣

「だけど、私たちは教官と生徒という立場で、今はこの関係を隠さなければいけなくて…」

「頭では分かっていても、私は…」

石神

「っ…」

結衣

「あっ…」

石神さんは私の腕を引き、胸の中に閉じ込める。

石神

「俺の立場上、これからも青山には窮屈な思いをさせてしまうことがあると思う」

「だけど君は…俺と一緒にいるのが嬉しいと言ってくれたな」

結衣

「はい…」

石神さんと触れる個所から熱が伝わり、私はカレの服の裾をぎゅっと掴んだ。

石神

「…俺も一緒だ」

結衣

「え…?」

石神

「青山と一緒にいて、嬉しいと思うのは…」

結衣

「っい、石神さん…」

石神さんの口元が耳に近づき、吐息がかかる。

石神

「いつも、俺を支えてくれて感謝している。…ありがとう」

結衣

「ん…」

耳元に唇が押し当てられ、思わず声が漏れてしまう。

そして、額、瞼、頬へとキスが落とされていく。

石神さんの唇が触れる個所に、熱が灯っていった。

石神

「結衣…愛している」

結衣

「んっ…」

そして最後に、唇が重なる。

確かめ合うように何度も角度を変えキスを繰り返し、どんどん深くなっていく。

(私も愛しています…)

唇から伝わってくる愛情に、私は心の中でそう返した。

 

数日後。

講義が終わると、私は課題を提出する為に教官室へやってきた。

結衣

「失礼します」

黒澤

「結衣さん、こんにちは!今日も元気いっぱいな、あなたの黒澤透です!」

結衣

「ふふっ、こんにちは。今日は何の用でいらしたんですか?」

黒澤

「やだな~、もちろん、結衣さんに会うために決まっているじゃないですか」

「結衣さんに会うためなら、例え火の中水の中…」

石神

「何をくだらないことを言っている」

黒澤

「くだらなくないですよ。オレは本気です!」

石神

「黒澤…」

黒澤

「って、そんな目で見ないでください~!怖すぎて震えが止まらなくなっちゃうじゃないですか」

石神

「お前にそのような繊細な心はないだろう」

黒澤

「ヒドイッ!結衣さん、石神さんがヒドイです~!」

黒澤さんはわざとらしく、私に助けを求めてきた。

そして私だけに聞こえるように、小さな声で話し始める。

黒澤

「それでですね、結衣さん…この前の休日はどうでした?」

結衣

「え?」

黒澤

「やだな~、白を切るつもりですか?石神さんからリストを渡されませんでした?」

結衣

「そ、それって…」

(もしかして、黒澤さんに私たちのことがバレている…!?)

(そ、そういえば、石神教官が黒澤さんからリストを渡されたって言ってたような…)

黒澤

「誰にも言わないんで、こっそり教えてくれませんか?」

<選択してください>

C:石神教官に助けを求める

(ど、どうやって切り抜ければいいの…!?)

私は視線を石神教官に向け、助けを求める。

石神

「……」

教官は短くため息をつき、黒澤さんの背後に立つ。

石神

「…黒澤。お前にはそんな話している暇はあるのか?」

黒澤

「ひぃっ!」

突然、背後から話しかけられ、黒澤さんは萎縮する。

石神

「この後は任務に就く予定だろう?こんなところで油を売っている暇はあるのか?」

黒澤

「い、いや~、少しは息抜きをしないとですね…」

石神

「これ以上息抜きをするというなら、こちらにも考えがあるが…」

黒澤

「うわ~ん!石神さんが怖いです~!」

石神

「青山」

結衣

「は、はい!」

石神

「君にはその後、資料の整理をするように頼んでるはずだが?」

結衣

「そ、そうでした!それでは、私はこれで失礼しますね」

私は足早に、教官室を後にした。あ

 

私は資料室で整理をしながら、深いため息をつく。

(はぁ…黒澤さんって、本当に読めない人だな…)

黒澤さんのきわどい発言には、今までに何度も驚かされいている。

(だけど、教官が誤魔化してくれたし…きっと、大丈夫だよね?)

結衣

「…よし!今は早く資料整理が終わるように、集中しよう!」

(恋人としてだけじゃない)

(ちゃんと頼りになる刑事になって石神さんの傍にいられるように…頑張ろう)

私はそう心に決め、資料整理に向かった。

♡Happy End♡