恋人は公安刑事
~1時45分~ 濡れた身体が乾く間もなく、シーツの海へと沈み込む。 バスルームのときよりも激しいキス。 今日の歩さんは、なんだかいつもより余裕がないみたいだ。 (これも「紫の下着」効果?) (じゃなかったら、こんな感じにならないんじゃ…) 東雲歩…
~22時20分~ 星空を覆いかくした雨雲は、すぐに大粒の雨を降らしてきた。 おかげで、私たちは… 結衣 「くしゅっ!」 (うう…髪も服もぐちょぐちょなんですけど) (まさか、こんな大雨になるなんて…) 東雲歩 「先に行ってて。部屋に」 結衣 「歩さんは?」…
~20時~ 予定外だったデートのお誘い。 いつもと違う場所で待ち合わせをした私たちは、今ーー 結衣 「歩さーーん」 東雲歩 「ちょ…くっつきすぎ!」 結衣 「でも、ちゃんとしがみついてないと落ちるじゃないですか」 「久しぶりの二人乗りですし」 (前にス…
~18時20分~ 桜田門周辺の建物が、夕焼け色に染まる頃ーー 結衣 「お…」 結衣 「終わったー!」 (奇跡です、歩さん!) (青山結衣、膨大な紙資料をすべてデータ化し終えました!) 結衣 「時刻は…」 「やば、定時ちょっと過ぎてる!」 結衣 「お先に失礼…
~15時45分~ 時刻は15時。 公安学校時代なら、その日最後の講義を受けているはず。 でも、ここではーー 結衣 「はぁ…」 (資料のスクラップ、終わっちゃった) (それにしても謎だな。スポーツ新聞のスクラップにいったい何の意味が…) 結衣 「ダメダメ!」…
~14時25分~ お昼休みも終わって、睡魔が訪れる時間帯。 結衣 「ふわぁ…」 (ダメだ、眠い) (おかしいな。お昼ごはん、いつもより少なめだったはずなのに) (とりあえず、眠気覚ましに…) 私は、胸ポケットからミントタブレットを取り出した。 結衣 「う…
~7時~ 目を覚ますと、見慣れた天井が見えた。 (…加賀さんの部屋だ) (昨日は加賀さんとお部屋デートして、そのままの流れで…) でも、隣に加賀さんの姿はない。 シーツにはまだ少しぬくもりが残っていたけど、つい今しがたまでいた、という感じではなか…
~13時30分~ 今日の「お昼休み」はちょっと特別だ。 なぜならーー 佐々木鳴子 「結衣ー!こっちこっち!」 結衣 「鳴子!もう来てたんだ?」 佐々木鳴子 「こっちは12時ぴったりに午前の研修が終わったからね」 「それより早く注文してきなよ」 結衣 「うん…
~11時5分~ 新米刑事の日常は、いつも荒ただしい。 なぜなら… 津軽高臣 「結衣ちゃーん、この資料、ぜーんぶシュレッダーかけといて」 結衣 「はい!」 津軽高臣 「結衣ちゃーん、この書類、警視庁に届けてきて」 結衣 「はい!」 津軽高臣 『結衣ちゃん、…
~7時55分~ 大好きな人のお家にお泊まりした翌朝は、仲良く出勤ーー なーんて夢を見ていた頃が、私にもありました。 でも、現実はーー 結衣 「う…」 「ぐぐぐぐぐ…」 (つ、つぶれる…) (なんで、今日に限って女性専用車両が激混みなの!?) しかも、私の…
今、うちの彼女は、すっかりふてくされてしまっている。 原因は、オレがからかいすぎたからだ。 結衣 「マッサージはこれでおしまいです!」 「私、ソファで寝ますから」 「おやすみなさい!」 捨て台詞よろしくそう告げて、彼女はベッドから下りようとする…
教官の運転するスクーターに乗ること1時間。 辿り着いたのは… 結衣 「ここ…都内ですか?」 東雲 「ぎりぎりね」 「それにしては見晴らしがいいでしょ」 「ついでに周辺も暗いから、ほら」 教官にうながされて、空を見上げる。 結衣 「うわぁ…」 東雲 「まぁ…
数日後… 鳴子 「結衣~、来週の金曜日あいてる?」 「流星群を観に行こうって話が出てるんだけど」 結衣 「ごめん。ちょっと勉強しないとマズクて…」 「この間の小テスト、クラスでビリだったし」 千葉 「でも、それって解答欄を間違えたせいだろ?」 結衣 …
東雲 「結衣…」 教官の肉付きの薄い手が、私の頬を包みこむ。 東雲 「好きだよ、結衣…」 (教官…) 東雲 「こーら…」 「今、『教官』って呼ぼうとしただろ」 (あ…) 東雲 「ほら、ちゃんと呼んでごらん。この間、教えたみたいに」 「いい子だから」 (じゃ…
強化合宿が終わり、終日後。 生徒たちは今から三連休が始まる為か、ほとんど寮に残っていなかった。 (2人でやっているおかげか、思ったより早く片付きそうだな) 俺は半分にまで減った資料の山を見て、青山に視線を移す。 結衣 「……」 (合宿が終わってよう…
気持ちを打ち明け合った私たちの周りには、先程はなかったゆるやかな空気が流れる。 結衣 「石神さん、この後の予定はもしかして…」 石神 「ああ、青山たちが予定していたところに行こうと思っている」 結衣 「やっぱり…あの、石神さん。今度は石神さんが行…
翌日。 夜遅かったせいか、私は予定の時間より遅い時間に起きてしまう。 急いで待ち合わせ場所に向かうと、すでに石神さんの姿があった。 結衣 「す、すみません!遅くなりました!」 石神 「いや、時間ちょうどだ。それよりも…」 結衣 「あっ…」 石神さんは…
公安学校では休みを返上して、強化合宿が行われていた。 石神 「強化合宿はこれで終わりだ。しかし、明日からの通常講義も気を抜くなよ」 全員 「はい!」 石神 「それでは、解散」 石神教官の言葉に、教場の緊張の糸が緩むのが分かる。 教官たちの姿が見え…
主人公の名前は青山結衣です。 ~6時30分~ 大好きな人の家にお泊まりした翌朝。 私は、いつもよりちょっと早めに目を覚ます。 だって、彼においしい朝食を食べてほしいから。 (愛情いっぱいの朝食を…) (大好きな、歩さんのために……) 結衣 「う…ん……」 …